チベット旅行記 抄

明治時代に、ひそかにチベットに潜入し、仏教を学んだ僧侶の旅行記。口述筆記のためか文体がゆれているが、それが逆に作者のユーモラスかつ飄々としたキャラクタを強く感じさせる。人との出会いに恵まれているのは、やはりその性格のせいか。
チベットに多夫一妻の習慣があることを始めて知った。しかも、兄弟で一人の奥さんをもらうという不思議な習慣。国自体が豊かではないため、兄弟それぞれが別の奥さんをもらい、財産を分割することが困難というのが理由らしい。貧困のせいで、一夫一妻な父権制に移行できなかったということなのだろうか。